結節性痒疹(けっせつせいようしん)とは
結節性痒疹とは、体の一部あるいは広範囲に強いかゆみをともなう皮膚の隆起(痒疹結節といいます)を生じる皮膚の疾患です。40代から50代での発症が多く、女性が男性よりわずかに多いと報告されています。原因は不明ですが、虫刺されや、糖尿病、腎臓の機能低下などに伴って起こることがあります。また、アトピー性皮膚炎の一部の患者さんで、痒疹を合併することがあります。
かゆいので繰り返し搔いてしまうことも症状が持続あるいは悪化してしまうことの原因と考えられています。
かゆいので繰り返し搔いてしまうことも症状が持続あるいは悪化してしまうことの原因と考えられています。
結節性痒疹の症状と生活への影響
結節性痒疹と診断されている患者さんの多くはつらいかゆみを感じ、一部の患者さんは焼けるような感覚や、かゆみによる睡眠障害を経験していると報告されています。また、痒疹の重症度が高いほど、精神の落ち込みは強くなる傾向があり、仕事への影響がある場合もあると報告されています1)。
1) J Dermatol. 2024;51:223-233
結節性痒疹の診断と重症度
結節性痒疹の診断は皮膚症状が典型的な場合は、経験を積んだ皮膚科医であれば、皮膚症状の診察により診断がつく場合が多いです。他の皮膚疾患との鑑別が必要な場合は、局所麻酔で発疹部位を一部切り取り調べる皮膚生検が診断に有効な場合があります。
結節性痒疹の重症度の一つの指標として、痒疹結節の盛り上がりの程度が強く、数が多い方をより重症と評価します。痒疹結節が100個を超える場合は重症と評価する指標があります。
結節性痒疹の重症度の一つの指標として、痒疹結節の盛り上がりの程度が強く、数が多い方をより重症と評価します。痒疹結節が100個を超える場合は重症と評価する指標があります。
結節性痒疹の治療
結節性痒疹の治療はステロイド外用薬(塗り薬による治療)、症状により、保湿剤の併用、かゆみの程度により抗アレルギー薬の内服(かゆみ止め)の使用が基本となります。
これらの治療で効果が十分得られない場合には、生物学的製剤という注射薬による治療を提案する場合があります。
これらの治療で効果が十分得られない場合には、生物学的製剤という注射薬による治療を提案する場合があります。
結節性痒疹の注射薬による治療
現在結節性痒疹に使用可能な注射薬は2製剤デュピクセント(デュピルマブ)、ミチーガ(ネモリズマブ)あります。
いずれの製剤も~マブ(mab)という語尾がついていますが、モノクローナル抗体(monoclonal antibody:mab)の略であり、バイオテクノロジーにより製造された抗体製剤です。
結節性痒疹では、IL-4, IL-13, IL-31という免疫細胞が出す物質が病状に大きく関わっていると報告されています。
デュピクセントはIL-4とIL-13の働きを抑え、ミチーガは、IL-31の働きを抑えることにより効果を発揮します。
デュピクセントやミチーガの投与開始後24週で、約半数の患者さんでかゆみが著明に改善し、痒疹結節がほぼ消失したと報告されています2)3)。
いずれの製剤も~マブ(mab)という語尾がついていますが、モノクローナル抗体(monoclonal antibody:mab)の略であり、バイオテクノロジーにより製造された抗体製剤です。
結節性痒疹では、IL-4, IL-13, IL-31という免疫細胞が出す物質が病状に大きく関わっていると報告されています。
デュピクセントはIL-4とIL-13の働きを抑え、ミチーガは、IL-31の働きを抑えることにより効果を発揮します。
デュピクセントやミチーガの投与開始後24週で、約半数の患者さんでかゆみが著明に改善し、痒疹結節がほぼ消失したと報告されています2)3)。
2) JAAD Int. 2024;16:163-174
3) JAMA Dermatol. 2025;161:147-156
外用療法(ぬり薬による治療)
尋常性乾癬の治療においては、外用療法は最も基本となる治療法です。外用剤には、ステロイド外用薬、活性型ビタミンD3外用薬の2種類があります。ステロイドの外用薬は、強い抗炎症作用により効果を発揮します。また、活性型ビタミンD3製剤は、ターンオーバーの亢進した乾癬発疹部の細胞増殖を抑える作用があります(図1参照)。
従来は、これらの2剤を重ねて外用したり、日をずらして外用したり、また薬局で混合して調剤してもらい外用を行っていました。
近年では、ドボベット®やマーデュオックス®など、両薬剤の配合剤(2つの成分が合わさり1つの薬剤となっている)が主流となり、また、軟膏以外にも、ゲル剤やフォーム剤(泡の薬剤)など様々な剤型が使用可能となっています。
従来は、これらの2剤を重ねて外用したり、日をずらして外用したり、また薬局で混合して調剤してもらい外用を行っていました。
近年では、ドボベット®やマーデュオックス®など、両薬剤の配合剤(2つの成分が合わさり1つの薬剤となっている)が主流となり、また、軟膏以外にも、ゲル剤やフォーム剤(泡の薬剤)など様々な剤型が使用可能となっています。
内服療法(飲み薬による治療)
飲み薬による治療には、乾癬で起こる皮膚の角化異常を調節する作用のあるチガソン®(エトレチナート)、免疫抑制作用をもち乾癬の暴走した炎症をおさえるネオーラル®(シクロスポリン)、免疫調節作用をもち角化細胞やリンパ球の相互作用をおさえるオテズラ®(アプレミラスト)などがあります。
免疫細胞が産生する乾癬の発疹ができやすくなる物質をブロックするソーテクツ®(デュークラバシチニブ)が2022年9月に新しく承認されています。
ソーティクツ®の導入には胸部X線撮影や胸部CT撮影、ウイルス性肝炎の有無調べる血液検査などが必要となります。当院での処方は可能ですが、胸部X線撮影や胸部CT検査は別途、当院と提携している他院で行っていただく必要があります。
免疫細胞が産生する乾癬の発疹ができやすくなる物質をブロックするソーテクツ®(デュークラバシチニブ)が2022年9月に新しく承認されています。
ソーティクツ®の導入には胸部X線撮影や胸部CT撮影、ウイルス性肝炎の有無調べる血液検査などが必要となります。当院での処方は可能ですが、胸部X線撮影や胸部CT検査は別途、当院と提携している他院で行っていただく必要があります。
注射療法(生物学的製剤による治療)
乾癬治療に用いられる注射薬は、生物学的製剤とよばれ、現在11製剤が使用されています。いずれもバイオテクノロジーにより作られた抗体製剤です。尋常性乾癬では、ぬり薬や飲み薬によるこれまでの治療で十分な効果が得られない場合に、導入が検討されます。
表皮の細胞(角化細胞)と免疫細胞(リンパ球と樹状細胞と呼ばれる細胞)が出すさまざまな物質(サイトカイン)が尋常性乾癬の発疹の悪化に関わっていました。尋常性乾癬にかかわるこれらのサイトカインのうち、TNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)、IL-17(アイ・エル・17)、IL23(アイ・エル23)が特に尋常性乾癬の病態に大きく関わることがわかってきています(図1)。各生物学的製剤はこれらのいずれかのサイトカインをピンポイントで抑えることで効果を発揮します(表1参照)。
2010年に乾癬治療に生物学的製剤が使われるようになって以来、乾癬の治療は大きく変わり、多くの重症乾癬の患者さんが、皮疹がほぼなくなる状態を目指せるようになりました。
生物学的製剤の使用には、定期的な検査と、副作用に対応できる生物学的製剤承認の総合病院や呼吸器内科専門医による対応のとれる病院との連携が推奨されています。当院は生物学的製剤承認施設であり、これらを遵守し、診療にあたっています。
生物学的製剤の導入および維持投与においては、定期的な胸部X線撮影や胸部CT撮影、ウイルス性肝炎の有無調べる血液検査などが必要となります。胸部X線撮影や胸部CT検査は別途、当院と提携している他院で行っていただく必要があります。
生物学的製剤を用いた治療では、医療費が自己負担限度額を超える場合があります。医療費補助制度につき、正しい知識を持つことにより、医療費の負担を軽減し得る場合があります。詳しくは、医療費補助制度についての項目をご参照ください。
当院は、治療および医療費の補助制度につき正しい情報提供をし、安全な医療を行っていくことに努めています。
表皮の細胞(角化細胞)と免疫細胞(リンパ球と樹状細胞と呼ばれる細胞)が出すさまざまな物質(サイトカイン)が尋常性乾癬の発疹の悪化に関わっていました。尋常性乾癬にかかわるこれらのサイトカインのうち、TNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)、IL-17(アイ・エル・17)、IL23(アイ・エル23)が特に尋常性乾癬の病態に大きく関わることがわかってきています(図1)。各生物学的製剤はこれらのいずれかのサイトカインをピンポイントで抑えることで効果を発揮します(表1参照)。
2010年に乾癬治療に生物学的製剤が使われるようになって以来、乾癬の治療は大きく変わり、多くの重症乾癬の患者さんが、皮疹がほぼなくなる状態を目指せるようになりました。
生物学的製剤の使用には、定期的な検査と、副作用に対応できる生物学的製剤承認の総合病院や呼吸器内科専門医による対応のとれる病院との連携が推奨されています。当院は生物学的製剤承認施設であり、これらを遵守し、診療にあたっています。
生物学的製剤の導入および維持投与においては、定期的な胸部X線撮影や胸部CT撮影、ウイルス性肝炎の有無調べる血液検査などが必要となります。胸部X線撮影や胸部CT検査は別途、当院と提携している他院で行っていただく必要があります。
生物学的製剤を用いた治療では、医療費が自己負担限度額を超える場合があります。医療費補助制度につき、正しい知識を持つことにより、医療費の負担を軽減し得る場合があります。詳しくは、医療費補助制度についての項目をご参照ください。
当院は、治療および医療費の補助制度につき正しい情報提供をし、安全な医療を行っていくことに努めています。
表1. 乾癬治療で使用される生物学的製剤一覧
乾癬の治療で使用される生物学的製剤の一覧を示します。点滴製剤であるレミケードを除き、すべて注射製剤です。赤字で示しているのが標的分子です。製剤により自己注射が可能な薬剤(家で自分で注射する薬剤)と、自己注射はできず、院内で医療スタッフにより注射を行う薬剤があります。
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製品名 (一般名)
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標的分子 (さらに詳細な標的分子)
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投与間隔*
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自己注射
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トレムフィア (グセルクマブ)
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IL-23 (IL-23p19)
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8週間
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×
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イルミア (チルドラキズマブ)
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IL-23 (IL-23p19)
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12週間
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×
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スキリージ (リサンキズマブ)
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IL-23 (IL-23p19)
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12週間
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×
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ステラーラ (ウステキヌマブ)
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IL12/23 (IL-12/23p40)
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12週間
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×
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コセンティクス (セクキヌマブ)
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IL-17 (IL-17A)
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4週間
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〇
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トルツ (イキセキズマブ)
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IL-17 (IL-17A)
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2~4週間
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〇
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ルミセフ (ブロダルマブ)
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IL-17 (IL-17RA)
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2週間
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〇
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ビンゼレックス (ビメキズマブ)
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IL-17 (IL-17A/F)
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4~8週間
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×
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ヒュミラ (アダリムマブ)
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TNF-α
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2週間
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〇
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シムジア (セルトリズマブ・ペゴル)
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TNF-α
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2~4週間
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〇
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レミケード (インフリキシマブ)
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TNF-α
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8週間
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×点滴製剤です
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*各製剤は、導入初期にはローディングといって、薬剤の血中濃度を上げるため、表に記載されている投与間隔より短い間隔で注射スケジュールが規定されているものが多いです。表にある投与間隔は、ローディング後の投与間隔となります。
乾癬とメタボリック症候群について
乾癬では、皮膚の症状のみではなく、肥満体型や、血中コレステロールの高値、高血圧、糖尿病、狭心症や心筋梗塞などを合併しやすいことが統計学的に知られています。特に、糖尿病や心疾患を発症していなくても、太り気味で、コレステロールが高め、血圧が高め、あるいは血糖値が高めの状態は、メタボリック症候群と呼ばれ、糖尿病や、心疾患の発症リスクが高くなると報告されています。
主に脂肪細胞という脂肪を蓄える細胞が、本来は、アディポサイトカインという種々の物質を分泌し、血糖値の上昇を抑えたり、血管のダメージを修復してくれているのですが、肥満状態となると、この機構がうまく働かなくなり、糖尿病や、心疾患の発症リスクを高めてしまうと考えられています。
乾癬が重症であれば、それに伴う全身性の炎症が、さらに、これら合併症の発症や悪化を促すことが報告されています。
そこで、乾癬治療の一環として、定期的な運動や、暴飲暴食をさけることで、健全にダイエットをすることが重要となる場合もあります。
主に脂肪細胞という脂肪を蓄える細胞が、本来は、アディポサイトカインという種々の物質を分泌し、血糖値の上昇を抑えたり、血管のダメージを修復してくれているのですが、肥満状態となると、この機構がうまく働かなくなり、糖尿病や、心疾患の発症リスクを高めてしまうと考えられています。
乾癬が重症であれば、それに伴う全身性の炎症が、さらに、これら合併症の発症や悪化を促すことが報告されています。
そこで、乾癬治療の一環として、定期的な運動や、暴飲暴食をさけることで、健全にダイエットをすることが重要となる場合もあります。