デュピクセントとは
アトピー性皮膚炎の発症には、免疫細胞が分泌するIL4 (アイ・エル4)とIL13 (アイ・エル13)という物質が大きく関与すると考えられています。IL4やIL13は様々な細胞に働きかけ、結果として、アトピー性皮膚炎の炎症をともなう皮膚症状を引き起こします。
注射治療薬であるデュピクセント(デュピルマブ)は、バイオテクノロジーにより製造された、抗体製剤であり、モノクローナル抗体(分子レベルで同一の構造をもつ抗体という意味です)とよばれます。デュピクセントは、IL4やIL13が標的細胞に働きかけるのを邪魔することにより、アトピー性皮膚炎の炎症をおさえます(図1)。デュピクセントの投与によりアトピー性皮膚炎の皮膚の赤みやかゆみを改善させ、より快適な睡眠を得ることができるなど、患者さんの生活の質も向上することが複数の臨床試験で示されています。
肺の疾患である気管支喘息や、鼻の疾患である副鼻腔炎の一部も、IL4やIL13の働きを抑えると改善することがあり、デュピクセントはこれらの疾患にも使われることがあります。
注射治療薬であるデュピクセント(デュピルマブ)は、バイオテクノロジーにより製造された、抗体製剤であり、モノクローナル抗体(分子レベルで同一の構造をもつ抗体という意味です)とよばれます。デュピクセントは、IL4やIL13が標的細胞に働きかけるのを邪魔することにより、アトピー性皮膚炎の炎症をおさえます(図1)。デュピクセントの投与によりアトピー性皮膚炎の皮膚の赤みやかゆみを改善させ、より快適な睡眠を得ることができるなど、患者さんの生活の質も向上することが複数の臨床試験で示されています。
肺の疾患である気管支喘息や、鼻の疾患である副鼻腔炎の一部も、IL4やIL13の働きを抑えると改善することがあり、デュピクセントはこれらの疾患にも使われることがあります。

図1. デュピクセントの作用部位
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左の写真はペン型と呼ばれ、オートインジェクター、すなわち、注射部位に押し当てて、自動的に薬剤が注射されるものです。右の写真はシリンジ型と呼ばれ、従来の注射タイプのものとなります。
デュピクセントによる治療が検討される患者さん
生後6か月以上(体重5kg以上)のアトピー性皮膚炎をおもちの患者さんで、ステロイドなどの抗炎症作用のある塗り薬を、半年以上しっかり外用しても、十分な効果が得られない場合に検討されます。
デュピクセントの効果について
アトピー性皮膚炎へのデュピクセントによる治療効果につきましては、日本を含む世界主要施設で行われたCHRONOS試験という臨床試験の結果をお示しします。表1は、ストロングクラスという中等度の強さのステロイド外用を併用したアトピー性皮膚炎の患者さんのうち①デュピクセントの注射を2週間に一度行った群と、②プラセボ(デュピクセントなし)群で16週間後の結果を比較したものです。
この試験ではEASI (Eczema Area and Severity Index)というアトピー性皮膚炎の皮膚症状を面積や、赤みやかき壊しなどを数値化し、複合的に評価する指標を用いて、検討を行っています。
EASI-50、EASI-75、EASI-90というのは、ベースラインから皮膚症状がそれぞれ50%, 75%, 90%改善したということを意味します(すなわち、EASI-90ではもともとの皮膚症状を100とすると、治療後に10となるということを意味します)。
結果として、16週後時点でのデュピクセント投与群での、EASI-50、EASI-75、EASI-90のそれぞれの達成率は80.2%、68.9%、39.6%となっています。プラセボでのそれぞれの達成率は37.5%、23.2%、11.1%とデュピクセントの有意な効果が認められています。
この試験ではEASI (Eczema Area and Severity Index)というアトピー性皮膚炎の皮膚症状を面積や、赤みやかき壊しなどを数値化し、複合的に評価する指標を用いて、検討を行っています。
EASI-50、EASI-75、EASI-90というのは、ベースラインから皮膚症状がそれぞれ50%, 75%, 90%改善したということを意味します(すなわち、EASI-90ではもともとの皮膚症状を100とすると、治療後に10となるということを意味します)。
結果として、16週後時点でのデュピクセント投与群での、EASI-50、EASI-75、EASI-90のそれぞれの達成率は80.2%、68.9%、39.6%となっています。プラセボでのそれぞれの達成率は37.5%、23.2%、11.1%とデュピクセントの有意な効果が認められています。

Blauvelt A et al. Lancet 2017;389:2287-2303
当院では診察時の医師によるEASI評価以外にも、患者さん自身で評価が行えるPOEMという指標とADCTという指標を用いて、患者さん自身にも症状のご評価をいただいています。多くの患者さんで、ベースラインより著明なスコアの改善を認めています(POEMやADCTの詳細つきましては、診療案内のアトピー性皮膚炎の項目よりご覧いただけます。)
当院でのデュピクセント導入の流れ
デュピクセントは体重により投与スケジュールや薬剤用量が異なります。各体重の投与スケジュールに関しましては、下記の図をご参照ください。
自己注射指導を受けることによりご自宅でのご自身(患者さんがお子さんの場合は保護者)による注射も可能です。以下に当院でのデュピクセント導入の流れをお示しします。
自己注射指導を受けることによりご自宅でのご自身(患者さんがお子さんの場合は保護者)による注射も可能です。以下に当院でのデュピクセント導入の流れをお示しします。

はじめてデュピクセントの導入を行う方の場合
STEP 1. 導入前診察
まず、医師によるアトピー性皮膚炎の重症度の評価、現在までの治療内容など、詳細な問診、診察を行います。診察の結果、デュピクセントによる治療の適応となる場合は、医療費(高額療養費制度が適用できる場合があります)、利用できそうな医療費補助制度などにつきお話しし、投与計画につき確認を行い、投与開始日を決めます(初回来院日当日のデュピクセント投与は行っておりません)。
デュピクセントでの治療中は生ワクチンの接種を避けていただく必要があります。特に、未就学児のお子さん(小学校に上がる前)の場合は、生ワクチン(特に、5、6歳児では、麻疹・風疹混合ワクチン(MR)とおたふくかぜのワクチンは生ワクチンであり、これらの2回目の接種と重なる場合があり、注意が必要となります)。生ワクチンの接種後4週間はあけて、デュピクセントの投与を開始することが推奨されます。
STEP 2. 初回投与日
院内でデュピクセントの初回注射を行います。自己注射(あるいは保護者による注射)の練習のため、当院看護師より1回目の注射指導を行います。
STEP 3. 2回目投与日
院内でデュピクセントの2回目注射を行います。当院看護師より2回目の注射指導を行います。
STEP4. 3回目以降の投与
院外処方にて、デュピクセントの処方をし、次回の来院日を決めます(最大12週後)。
まず、医師によるアトピー性皮膚炎の重症度の評価、現在までの治療内容など、詳細な問診、診察を行います。診察の結果、デュピクセントによる治療の適応となる場合は、医療費(高額療養費制度が適用できる場合があります)、利用できそうな医療費補助制度などにつきお話しし、投与計画につき確認を行い、投与開始日を決めます(初回来院日当日のデュピクセント投与は行っておりません)。
デュピクセントでの治療中は生ワクチンの接種を避けていただく必要があります。特に、未就学児のお子さん(小学校に上がる前)の場合は、生ワクチン(特に、5、6歳児では、麻疹・風疹混合ワクチン(MR)とおたふくかぜのワクチンは生ワクチンであり、これらの2回目の接種と重なる場合があり、注意が必要となります)。生ワクチンの接種後4週間はあけて、デュピクセントの投与を開始することが推奨されます。
STEP 2. 初回投与日
院内でデュピクセントの初回注射を行います。自己注射(あるいは保護者による注射)の練習のため、当院看護師より1回目の注射指導を行います。
STEP 3. 2回目投与日
院内でデュピクセントの2回目注射を行います。当院看護師より2回目の注射指導を行います。
STEP4. 3回目以降の投与
院外処方にて、デュピクセントの処方をし、次回の来院日を決めます(最大12週後)。
すでに他院でデュピクセント導入をされている方の場合
STEP 1. 導入前診察
医師による現在のアトピー性皮膚炎の診察、現在までの治療内容など、詳細な問診、診察を行います。医療費につき確認、利用できそうな医療費補助制度などをご利用いただいていない場合は、情報提供を行います。自己注射の方は次回処方日を、院内での注射を希望される方は注射日を決めます(初回来院日当日のデュピクセント投与は行っておりません)。
STEP 2. 処方あるいは注射
院外処方にて、デュピクセントの処方をし、次回の来院日を決めます(最大12週後)。
医師による現在のアトピー性皮膚炎の診察、現在までの治療内容など、詳細な問診、診察を行います。医療費につき確認、利用できそうな医療費補助制度などをご利用いただいていない場合は、情報提供を行います。自己注射の方は次回処方日を、院内での注射を希望される方は注射日を決めます(初回来院日当日のデュピクセント投与は行っておりません)。
STEP 2. 処方あるいは注射
院外処方にて、デュピクセントの処方をし、次回の来院日を決めます(最大12週後)。
デュピクセント(成人用量)の薬剤費の目安
初回(2本)
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2回目(1本)
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自己注射(6本の場合)
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薬剤費用
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117,550円
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58,755円
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352,530円
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3割負担での窓口負担額
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35,265円
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17,633円
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105,759円
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2割負担での窓口負担額
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23,510円
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11,755円
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70,506円
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1割負担での窓口負担額
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11,755円
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5,878円
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35,253円
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ペン型のデュピクセントの薬剤費の目安をお示ししています(令和4年8月時点)。薬剤の窓口負担額は表にお示しする通りで、診察費、検査費は別途料金がかかります。また、年齢、収入、ご加入の健康保険により、高額療養費制度や、付加給付制度、その他の医療補助制度が利用できる場合があります。医療費につきましては、当ホームページの「医療費補助制度について」をご参照ください。